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創作のセリフにまつわる著作権のお話

※本記事は伺かアドベントカレンダー2015用の記事です。



まえがき

多くのゴーストデベロッパーは伺かでキャラクターを作っていると思います。
今回はキャラクターと著作権の関係について書こうかなと思います。あと、商標についても少し。
なお、りすなは法律家ではないのでこれを専門家の意見だとは思わないで下さい。



著作権とは

そもそも著作権とは何かというと、著作物に対する権利です。
では、著作物とは何かというと、著作権法では以下のように規定されています。

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(著作権法第二条 一)


思想又は感情を創作的に表現ってなんだよと思われるかもしれません。私もそう思います。
過去にテスト用問題集の問題の並べ方が著作物と認められたこともあり、思想とか感情が入っていないものなんてないのではと思えてきます。
(編集した著作物は編集著作物といいます。詳しい説明は割愛します)
なので、「これは著作物で、これは著作物でない。ボーダーラインはこれ!」と提示するのは難しいので、
事例などを見て考えていきたいと思います。



キャラクターは著作物ではない

伺かや小説、漫画にはキャラクターが登場します。そのキャラクターは著作物なのかというと、裁判に於いて著作物ではないと判断されています。
ポパイネクタイ事件という事件がありました。事件の概要については省略しますが、この裁判に於いて最高裁は

一 漫画において一定の名称、容貌、役割等の特徴を有するものとして反復して描かれている登場人物のいわゆるキャラクターは、著作物に当たらない。

という判断を下しています

ですが、キャラクター商品の海賊版を扱ったため逮捕というのは珍しい話ではありません。ワンピースの海賊版グッズを扱っていた業者が摘発なんてニュースもありました。
キャラクターには著作物が無いのになぜ逮捕できるのかというと、キャラクターのイラストは著作物であるためです。




”キャラクターの図”なら著作者に著作権が存在する

サザエさん事件と呼ばれる著作権侵害についての裁判が過去にありました。
バスにサザエさんのイラストを描いて運航していたバス会社が、サザエさんの原作者である長谷川町子さんに訴えられ、結果として賠償金の支払いを命じられたという事件です。
ここでは裁判所はこういう見解を述べています。

その漫画は,原告自身が作成したものであればもちろん漫画『サザエさん』であり,また他人が作成した漫画であってもそこに登場する人物の容ぼう,姿態等からしてその人物が原告の作成する漫画『サザエさん』に登場するサザエ,カツオ,ワカメ等と同一又は類似する人物として描かれていれば,その漫画は漫画『サザエさん』と誤認される場合があるであろうと解される。
(中略)
漫画の登場人物自体の役割,容ぼう,姿態など恒久的なものとして与えられた表現は,言葉で表現された話題ないしは筋や,特定の齣における特定の登場人物の表情,頭部の向き,体の動きなどを超えたものであると解される。しかして,キャラクターという言葉は,右に述べたような連載漫画に例をとれば,そこに登場する人物の容ぼう,姿態,性格等を表現するものとしてとらえることができるものであるといえる。


ポイントとして見るべきは、

特定の齣における特定の登場人物の表情,頭部の向き,体の動きなどを超えたものであると解される。

という点です。要はキャラクターとして似ているイラストなら原作に同じような絵がなくても著作権侵害になるよ。という判断を裁判所が下していることになります。

逆に、似ていなかったり特徴として挙げた部分のオリジナリティが薄いと判断されて著作権侵害と認められなかったこともありました。
けろけろけろっぴ事件と呼ばれる事件があります。とある女性が描いたカエルのキャラクターサンリオがパクってけろっぴがうまれたとして訴えた事件です。
リンク先に資料があるのでご覧いただければと思います。すごく簡単に言うと、「手足つけたり頭から目玉飛び出させるのはカエルの擬人化としてはありふれた表現。オリジナル感じさせる部分を見たらその黒いカエルとけろっぴは似てねえだろ」と裁判所が判断を下して著作権侵害とはなりませんでした。

以上から、

・特徴的な部分を残している図であれば他人が描いた物でも同一のキャラクターと見做される
・特徴的な部分がまったく違っていれば別個の著作物である


ということになります。



二次創作は著作権侵害?

キャラクターは著作物ではないが、キャラクターの図(イラスト)は著作物である。となると同人誌のイラストはどうなるのでしょうか。
ポケモン同人誌事件と呼ばれる事件があります。ポケモンの同人誌を描いた作者さんが任天堂に訴えられたというものです。
新聞にも載った事件なのですが、同人誌生活文化総合研究所さんに記事の比較まとめがありました。
朝日新聞の行に注目してください。逮捕容疑の列に「著作権法(複製権の侵害)」と書かれていますね。著作権法には著作者に対して認められる様々な権利が規定されています。

著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(著作権法 第二十一条)


著作物を複製して良いのは著作者だけですよというわけです。今回のポケモンの同人誌は任天堂だけが持っているポケモンの複製権を同人作家が侵害したということになります。
同人誌ですのでアニメやコミックを切り張りして作ったものとは考えにくいですが、それでも複製権の侵害とされたのはサザエさん事件の裁判所の判断、
登場人物自体の役割,容ぼう,姿態など恒久的なものとして与えられた表現は,言葉で表現された話題ないしは筋や,特定の齣における特定の登場人物の表情,頭部の向き,体の動きなどを超えたものであると解される。
から導き出されたものと考えればおかしくはないでしょう。
つまり、自分で描こうがイラストを素材化して貼り付けようが著作権法の上では差が無いのが実情なのです。



セリフと著作権

キャラクターには著作権がないが、図には著作権が発生しているとお話しました。
次に、セリフや文章などに著作物が出てくる場合について考えてみたいと思います。

ゲームセンターに行くと、クイズマジックアカデミーのようなクイズゲームがありますね。そのゲームに登場するクイズですが、文中にゲーム会社が著作権を有していないであろうアニメやゲームやテレビ番組の名前がどんどん出てきます。
では、このクイズを作るために権利料を支払っているかというとそういうわけではありません。もう一度著作物とは何かを見直してみましょう。

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(著作権法第二条 一)


著作物とは思想や感情を表現したものです。たとえば、クラスメートの名簿や持っている本のリスト、アーティストのディスコグラフィーなどは単なるデータを並べたものですので、著作物の範疇から外れることになります。
クイズの問題も、アーティストのディスコグラフィーのように事実を述べているだけですので、著作権を侵害していることにはならないと判断できます。
つまり、あなたのキャラクターや創作物のセリフでただ事実を書いただけなら、それは著作権の侵害にはならないといえます。

他人の著作物に登場する固有名詞やキャラクターの名前、設定などはどうでしょうか。

まず、キャラクターは著作物ではないと述べましたので、あなたのキャラクターのセリフに「ルフィ」とか「ケンシロウ」という名前が出てきても問題はありません。
『ペンギン村に陽は落ちて』という小説があるのですが、この本にはウルトラマンやサザエさん、ガラスの仮面やドラえもんのキャラクターが登場します。
かなり壊れた内容なので別に読めとは言いませんが、小説ならば図の著作権を侵害することもないので他人が作ったキャラクターを登場させられる例として挙げてみました。

では固有名詞はどうでしょうか。
固有名詞も同様に思想又は感情を創作的に表現したものとは見做しがたいため、キャラクター同様にあなたの創作物に登場させることが可能です。
だからこういう本も出せるわけですね。

そして設定についてです。設定は「思想または感情を創作的に表現したもの」には含まれません。
設定資料集はどうなるのかというと、ちょっとわかりにくいところですが、設定を並べただけではやはり著作物とは認められません。設定を書いた上でそれに対する解説などを含めればその資料集は著作物となるでしょう。ですが、設定それ自体はやはり著作物にはなりません
ですので、極端な話をするならばあなたのキャラクターが設定上国家錬金術師だったり、神羅カンパニーのソルジャーだったり、エヴァンゲリオンのパイロットだったりしても著作権の侵害にはなりません。




セリフと商標権

ところで、実際の商品名や企業名をセリフに入れても著作権侵害にならないのでしょうか。
実は、これらに関しては著作権法ではなく、商標法で守られるものとなります。たとえば、私の作ったキャラクターが
「コカコーラを飲んだよ」
と喋ったとしても著作権の侵害にはなりません。
では、商標権の侵害になるのかどうかを考えてみます。そもそも商標とは何でしょうか。

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
(商標法 第二条)


商品を生産する者が商品について使用する文字なので、コカコーラという単語は商標に含まれます。
だったらコカコーラという名前をセリフに出すと商標権を侵害しそうな気がしますが、商標権については以下の定めがあります。

商標権は、設定の登録により発生する。
(商標法 第十八条)

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
(商標法 第二十五条)

商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権及び地域団体商標に係る商標権については、この限りでない。
2  専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。
(商標法 第三十条)


まとめると、
・商標を登録しない限り商標権は発生しない
・商標権者は登録した商標を使うことができる
・専用使用権者は設定された範囲内での商標使用ができる。商標権者も専用使用権者の商標は使えない


ということになります。
ただし、
指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利
ということなので、商標権が発生する範囲というのは限定されています。

たとえば、「りすなッ茶」という商標を登録する場合、それが何に使用されるのかを定めておかねばなりません。
商品には区分があります。では、「りすなッ茶」をお茶に該当する第30類として登録します。
そして、晴れて私は「りすなッ茶」の専用使用権を獲得します。しかし後日、別の企業が「りすなッ茶」という名前でペンキを作って販売しました。
この場合どうなるかというと、私は塗料・着色料・腐食の防止用の調製品である第2類の商標として「りすなッ茶」の専用使用権を持っていないため、その企業に対して何も言うことができません。

商標というのはざっくりいってしまうとブランドを示すためのものなので、
ゴーストのトークや漫画のセリフに登場したとしてもそのブランドの一部であると示したり誤認させたりすることはありません。
なので、登場させても商標権侵害とはならないでしょう。




セリフにしてはいけないもの

著作物をそのままセリフに組み込んだ場合は著作権侵害となります。小説や詩、歌詞などでやりそうですね。
ただし、著作物には保護期間が存在しており、保護期間が切れた作品に関してはそのままセリフに組み込んでも問題ありません
保護期間はざっと以下のような感じです。

・作者が実名またはよく知られた変名(ペンネームなど)で出した作品 → 死後50年
・作者が匿名または本人がわからない変名で出した作品 → 公表後50年
・団体が作者の著作物 → 公表後50年
・映画 → 公表後70年

ただし、TPPの締結によって保護期間が死後70年に変わろうとしています
保護期間が切れた後に法律が変わった場合はその著作物は自由に利用できるそうですが、法律が変わった後は20年延長されていますのでご注意を。なお、これを書いたのは実際に保護期間70年が制定される前の話なので、確実な情報は自分で調べてください。

また、著作物には二次的著作物というものもあります。

二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
(著作権法第二条 十一)

おそらくセリフに用いるとしたら小説などの翻訳が多いかと思われます。
二次的著作物で注意しなければならないのは、保護期間が翻訳元とは別に発生する点です。

二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
(著作権法 第十一条)


とっくに著作権が切れている外国の小説などから文章を転載する場合、
翻訳が最近なされたものなのか、それとも古い翻訳なのかに気をつける必要があります。

それから、小説などの内容を要約した場合は翻案に当たり二次的著作物と見做されます
そして、著作物を翻案する権利は著作者が持っているため、勝手な要約はやはり著作権侵害となります

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(著作権法 第二十七条 )





引用について

著作物は引用することができます。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(著作権法 第三十二条)

引用は判断が分かれるところなのですが、文化庁がもう少し突っ込んだ書き方をしてくれているのでそれを参考にすると良いかも知れません。

(注5)引用における注意事項

 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。

(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(文化庁のホームページより)


(1)の必然性について考えてみるに、自分の言葉で言い換えられるものをわざわざ引用した場合は著作権侵害になる可能性があります。
ですのでおそらく、キャラクターのセリフとして引用ができる機会というのはそんなに多くないのではと思われます。




セリフにして良いのかよくわからないもの

「著作物をそのままセリフに書いてはいけない」ということはすでに述べました。
しかし、よく漫画やアニメなどで他の作品の有名なセリフをキャラクターがそのまま喋っていることがあります。
これに関しては難しいところでそもそもセリフ一つが、

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(著作権法第二条 一)


に該当するのか考えねばなりません。
これについては、
「セリフというものは短いから創作物にならない」
という人もいれば、
「そのセリフが独創的なら創作性が認められるかも知れない」
という人もいます。結局のところ創作性があるかどうかは裁判になってみないとわからない部分が大きいので難しいところです。

短い言葉でも著作物として認められた例としては交通安全スローガン事件が参考になるかも知れません。
事件の概要はこちらを見ていただくとして、裁判所の判断はこうなりました。

 著作権法による保護の対象となる著作物は、「思想又は感情を創作的に表現したものである」ことが必要である。「創作的に表現したもの」というためには、当該作品が、厳密な意味で、独創性の発揮されたものであることまでは求められないが、作成者の何らかの個性が表現されたものであることが必要である。文章表現による作品において、ごく短かく、又は表現に制約があって、他の表現がおよそ想定できない場合や、表現が平凡で、ありふれたものである場合には、筆者の個性が現れていないものとして、創作的に表現したものということはできない。
 そこで、原告スローガンについて、この観点から著作物性の有無を検討する。
 弁論の全趣旨によれば、原告は、親が助手席で、幼児を抱いたり、膝の上に乗せたりして走行している光景を数多く見かけた経験から、幼児を重大な事故から守るには、母親が膝の上に乗せたり抱いたりするよりも、チャイルドシートを着用させた方が安全であるという考えを多くの人に理解してもらい、チャイルドシートの着用習慣を普及させたいと願って、「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」という標語を作成したことが認められる。そして、原告スローガンは、3句構成からなる5・7・5調(正確な字数は6字、7字、8字)調を用いて、リズミカルに表現されていること、「ボク安心」という語が冒頭に配置され、幼児の視点から見て安心できるとの印象、雰囲気が表現されていること、「ボク」や「ママ」という語が、対句的に用いられ、家庭的なほのぼのとした車内の情景が効果的かつ的確に描かれているといえることなどの点に照らすならば、筆者の個性が十分に発揮されたものということができる。
 したがって、原告スローガンは、著作物性を肯定することができる。


つまり、20字前後の短い言葉であっても著作物であるとは認められているわけです。ある程度長い言葉であったり、その言葉が個性的なセリフを喋らせるのは少々考えたほう良いかも知れないですね。




SNSや2ちゃんねるなどの危険性

匿名掲示板やツイッターなどに書かれた文書をコピーしてセリフに書くのは危ないです
第一に、そういったネットの書き込み自体が著作物となり得ます。
第二に、投稿した人の顔が見えない以上、その投稿自体が著作権を侵害した物である可能性があるからです。
世の中には創作物なんてごまんとあるので、たとえパクりだったとしても気づける可能性は低いです。
なので、発言に責任がない人が書いた物をそのまま流用するのは避けたほうが良いでしょう。




おわりに

ランダムトークなど、ゴーストを作成するうえでキャラクターを喋らせる機会は多いと思います。
もしトークで他人の著作権を侵害していないか心配になる方がいて、この記事が助けとなったのなら幸いです。


文責 りすな
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